その16.「なぞのフライングV!」 ※参考程度にご覧いただいて、作業は自己責任でお願いします。

一般的なエレキギターのイメージって「変型モノ」だと思います。そんな変型モノの代表選手が「フライングV」ですね。
本家はもちろんギブソンですが、たくさんのメーカーからコピーモデルから派生型まで出ております。

ジャンク品で5,000円で購入した「モンスティ」ってメーカーのフライングV。今までいろんなメーカーを見てきましたが

全く知らず。。。ネット検索かけても画像がちらほらある程度の存在感。 
ネックは極太なメイプル、ボディは合板、もちろんボルトオン。そしてピックアップは「samsung」の刻印入りにギャフン!

ヘッド先端が丸くて短い70'sなルックスなんだけどネックの仕込み角度は67年モデルみたいだし、
ブロック型ポジションマークがマイケル・シェンカーな雰囲気ですね。 ただ本人が使ってたものとはサイズが違ってますが…

このジャンクなフライングVを買った決め手はこれだけではありません。
 ・ネックがメイプル製なこと(まず、折れないし・笑)。
 ・指板、フレットの加工が丁寧であったこと。
 ・ボルトオン・ジョイントだったこと。 

本家とは全く違う構造に惹かれたのはストラトキャスターに慣れているし、何より以前弾いたことのある本家のフライングVに

良い印象を持っていないから。「ボルトオン・ジョイント」ならではの「鳴り」に拘っているからです。
とは言え、所詮5,000円のジャンク品ですから過度の期待も禁物(笑)。そこらへんを踏まえてレストアしたいと思います。

まずはバラバラに分解して掃除。日焼けの後がセクシーですね。
ネックポケットに分厚いシムが挟まってました。とりあえず外して使わない方向で作業します。

ピックガードが薄くて反っていました。作り直すのは大変なので銅テープを貼って厚みを稼ぎました。
ノイズ軽減効果も狙っています。さて、どうなるか…ハイ落ちしなければいいのですが。
ピックアップはグレコのレスポールに付いていたディマジオのPAFをチョイス。古そうだが何年製か不明。

今回は定番の牛骨に変えてグラフテック社の「TUSQ」(タスク)を使ってみました。
人工象牙ってやつで、おおまかな成型と弦の溝切り加工済みで800円。さぁ高いか安いか??
ネック幅と指板厚を計測して、ギブソン用より少し厚めのエピフォンのアコギ用をチョイスしました。

上が「TUSQ」、下が取り外したナット。プラスティック製でした。
正確に測ってませんが、明らかに「TUSQ」のほうが密度感があって重い。いま流通してる牛骨より良いかも。
それぞれのナットを持ってテーブルを叩いてみた音は、プラ製が「コンコン」に対しTUSQは「キンキン」だったからね。

そのままだと少し大きかったので幅を1mm、高さを約2mm削って加工は終了。

削ったときの匂いが牛骨、というかカルシウム臭がしてビックリ!

最終的な微調整は必要ですが、弦の溝切り加工済みなのはかなり助かります。時間にして1時間は違います。

パーツを戻して弾いてみます。ホワイトボビンのピックアップがイメージと違うかな(苦笑)。
ナット交換は大正解!「TUSQ」はオススメです。開放弦の鳴りがはっきりと明るくなりました。他のナットもこれにしたいくらい。
極太ネックとディマジオPAFの自己主張がありすぎてバランスが悪い、というか扱い辛い。
まぁ合板ボディだし、そもそもフライングVって弾きにくいモンだろっ?って声もありますが

ピックアップを再び交換。またまたジャンク品で見つけた現行エピフォンのPAF(しかもカバー付き!)へ。
取り付けネジとスプリングが無しで1個2,100円。カバー付きってだけで満足(笑)。
裏にはシールが貼ってあったりちゃんとロウ漬けされてたりと廉価版のものではなさそうだけど。
ネットオークションでは1個5,000円くらいで見かけました。肝心のサウンドはどんなんだろ?
ピックアップ本体のネジ穴サイズはインチ規格。1箇所潰れてたけど、太めのセンチ規格のネジで代用。

ここだけプラスネジになっちゃいました。

幸いリード線が長く、ポットまで届いたのはラッキーだったけど、いざボディに戻してみたらば

フロントピックアップがボディと干渉してピックガードがネジ穴と合わなくなりました。
ボディ側のネジ穴を埋めて再度穴開け加工し固定する事にしました。


そうと決まればタイトボンドと爪楊枝でババッと埋めてしまうのさ。
ピックアップのザグリにスポンジを貼って振動対策を。ここまでやればハウリングもないでしょう。 

ネックのシェイプを再加工しました。太めのメイプルネックだと音はクリアーなんだけど適度に歪まないんだ。

マーシャルサウンドは純正キャビネットの「箱鳴り」で得られるのと同じ。適度にルーズな感じが欲しいんです。
ただ、やりすぎちゃうとNGだから見極めが難しいところです。仕上げはオイルフィニシュを施して手触りサラサラ♪

ネック側のストラップピンの位置も替えました。ほんの少しの変更でもバランスは変わるからね。
本家の取り付け位置を参考に、ネックセットプレートのド真ん中に穴開けして固定しました。 

弦は男のダダリオ.011~.049をチョイス。パワーブルースやるならこれよ♪

ラインで鳴らしてみると、いい意味で音が引っ込んで全体的にまとまった感じ。前のディマジオは前に出過ぎてたからね。
フロント+リアの音色ポジションを基準に音造りするとおもしろそうなギターに生まれ変わりました。

やっぱりカバー付きのピックアップが似合うね。ギターは見た目も大事!!